2019年03月

3月28日木曜日
今シーズンは、2月末から遭難事故が立て続けに起きているため、せっかくの良い時期にも関わらず楽しい内容をお伝えする気持ちになれません。本来なら記事を読んで、「行ってみたい‼」と思っていただけるような事を書かなければいけないのですが、今はあえて、もうしばらく厳しい事を書かせていただきます。
先週土曜日も警察に救助要請がありました。「下りで尻セードに失敗して足を痛めた」との内容。しかしながら、日没が迫りヘリが飛べず、現場でビバークしてもらい翌日下から救助に向かうということとなりました。ところが、夜は風雪となり寒気も降りてきました。足の痛みより寒さに耐えれなくなったのか、要救者は夜になってから自力で下山しました。救助要請しておきながら、警察の指示に反して勝手に下山したのです。翌日の救助の人員手配などもしているにも関わらずです。「ヘリが来ないのなら歩こう」と考えたのでしょうか。こういう自分勝手な事をする人は来るな!と言いたいです。心構えがなってないです。前にも書きましたが、3月になるとこういう不心得者が増えてきます。まだまだルンルン気分で歩ける状況ではないこの時期に、経験不足の人が来るとこういう結果になってしまうのです。
翌日に山荘に泊まった人の中にも、自分で地図も確認せずに、山頂が見えているにも関わらず、「どっちの方向に行けばいいの?」と質問するありさま。「地図を見たら」と私が言うと、「聞いた方が早いと思ったから」と返事が返ってきました。対応不可能です。
また昨日は、分岐から山荘に来るのに道に迷ったという人がいました。地図は持ってる、コンパスもある、自分の位置情報も得られる。なおかつ私が付けた赤布もある。これで来れないのであれば、残念ながらこの時期に自分達だけでくる技術レベルに達していないと言わざろう得ないです。「赤布の付け方がちょっと・・・」「雪が降りだしトレースがなかった」「5月の赤岳のためのトレーニングのつもりできた」などなど。どの言い訳ひとつとっても理解に苦しむことばかりです。こちらの方も 残念ながらまだまだ経験不足です。こういう段階の人はいくら自分達で回数いっても、結局技術レベルはなかなか上がりません。やはり経験豊富な人について行くことによって教えられる事があり、それが身に付いて自分の技術レベルが上がる、と思います。最近そういうふうに人に教わるという人が本当に少なくなったと思います。ネットで得た情報だけを頼りに、自己流という人が多いです。だから尻セードするのもアイゼン着けたまま滑るから引っ掛かるし、地図もGPSも持ってても迷ってしまうのです。雪山において、どう行動するべきか、あるいはすべきでないか。そういったことは現場で身をもって経験しないとなかなか身に付かず、とっさに対応することはできません。経験未熟な人は、経験豊富な人に教わる。近道せずに順序を踏んで行くことによって、経験値が上がり、自信となっていくと思います。
長々と書きましたが、まだしばらくは残雪期とはよべず、油断できない時期です。硬いアイスバーンもあります。雪が少ないと言っても、例年に比べての話で、平均2~3m、多いところは5~6mあります。経験未熟な人だけで気軽に来れる時期ではありません。山荘HP内の「冬季入山者へのお願い」などを参考にしていただき、自分の身は自分で守る。しっかりと考え、責任ある行動をお願いします。遭難件数が過去最多を更新した昨年に引き続き、また今年も更新しないよう、安全第一で楽しい登山をお願いいたします。

3月21日木曜日
春分の日の今日、せっかくの祝日でしたが、山は春の嵐です。降りだしは重い雪でしたが、10時頃からは雨となってしまいました。風も強く、文字通り嵐と呼ぶにぴったりでした。上はどこまで雨なんでしょうか。山荘で14時の気温が+3.3℃。頂上は雪かもしれませんが、雪だとしても湿っぽい雪でしょう。この低気圧が抜けた後、寒の戻りがあるようです。ということは、またカリカリになるのでしょうか。この週末は気温も低く、風もある予報となってます。下界では桜が咲いて麗らかな日和なんでしょうが、山はまだまだ冬の様相です。充分にご注意ください。DSC_1168

3月14日木曜日
昨日から今日午前中にかけて、この冬一番のと言ってもいいぐらいの雪の降り方となりました。この24時間で70㎝ぐらい積もったのではないでしょうか。今週月曜日と合わせて、軽く1mは越えています。降って欲しいとは願ってましたが、こういう降り方は疲れます。今シーズン初めての雪掻き疲れです。月曜日にも書きましたが、雪が落ち着くまでしばらくは雪崩に対して厳重警戒必要です。DSC_1147

3月11日月曜日
昨晩からの雪は、久しぶりの大雪となりそうです。朝8時の時点で40㎝程つもり、まだまだ降りそうな勢いです。ただ、気温が8時で0℃。これ以上、上がらないことを願います。そして、40㎝以上となると、雪崩が気になります。一昨日、剣ヶ峰と蚕玉岳の間の沢で雪崩がありました。ここは、先日からお伝えしている、剣ヶ峰の東面斜面です。雨でカリカリになった上に木曜日に降った雪が積もっていたのでしょう。やはり上手く結合できず、落ちたものと思われます(カリカリの状態は解消されていないということです)。ということは、今回の雪の後も厳重に注意が必要です。一昨日の雪崩は、ある程度予想はできたものです。雪山に入る以上は、自分の身は自分で守らなければいけません。ここの斜面は雪崩れないか?滑落の危険があるひどいクラスト状態ではないか?こういったことを自身で判断する必要があります。「他人が、あるいはネットで調べた情報では、ここを歩いているから大丈夫」という判断は完全ではありません。雪の状態は、天候、気温、降雪からの時間、風等色々な要素によって常に変化していきます。それを現場で状況判断できる力が必要です。先日も、「今月末に行くのですが、アイゼンだけで大丈夫ですか?スノーシューいらないですか。ヤマレコ見るとアイゼンで行ってるのですが」と聞かれました。こういった質問(愚問)をするということは、まだまだ経験不足と言わざろうえないです。ネットの情報を見ることは良いことです。しかし、それが絶対ではないので、あくまで参考にするという態度が必要です。天候、雪の状況、パーティの技量等、全く同じ状況ということはあり得ないのですから。
引き続き安全第一での行動をお願いいたします。
追記
本日午後下山してきましたが、やはり山荘そばの雪崩斜面は雪崩れてました。そして、日中も降り続いたので50㎝前後、深いところは60㎝程となってました。私はスキーをはいていたにもかかわらず、スキー場までほぼ下りラッセルでした。
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3月1日金曜日
今日から3月。
24日から三日続けてのヘリ出動を受けて、先日HPトップに「緊急注意喚起」を掲載し注意を促しました。が、昨日来たお客はアイゼン着けるのは3回目、しかもアイゼン装着するのに30分もかかって、それでも満足に着けれないという方でした。当然滑落停止の練習もしたことない。しかも、そういう方が単独で来る。異常です。そういう心構えの方が増えれば、それは遭難も増えてヘリの出動も増えてしまいます。しかもその方は私の「注意喚起」をご覧になったとおっしゃってました。来るなとは言いません。誰もが初めは初心者です。来るなら、下界でできる準備はしっかり整えて、なおかつ経験者に教えを乞い一緒に来てもらう。或いはガイドを依頼するなり、講習会に参加する。そういった順序を踏む。大切なことだと思います。 例年3月に入ると、そういった軽い気持ちで入山する方が増えてきますが、今一度ご自身のスキルや経験を客観的に見直してみてください。自身に合った行動計画を立てて、しっかりと準備を整えてから来てください。山は逃げません。無理な計画、行動は慎んでください。

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